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高森明勅
2017.6.14 22:00

超「護憲」的エセ改憲の行方

大袈裟な表現は私の趣味ではない。

でも、安倍首相の9条(1、2項)を
護持して自衛隊を明記するとの提案は、
以下のように表現するしかない。

超護憲的エセ改憲、と。

この唐突な提案を受けて、自民党では早速、
“大撤退”
が始まっている。

自民党の保岡興治憲法改正推進本部長は12日、
憲法9条に自衛隊を明記する憲法改正に関し
政府解釈を1ミリも動かさないで自衛隊を
明確に位置付ける方向性
で進めていく』と述べ、
現在の政府解釈の枠内で党の改正案作りを進める考えを示した。
保岡氏は…
『公明党の(9条への)重要な認識もある。
解釈を動かさない前提で自衛隊を合憲化して明記する』と明言した」(毎日新聞6月13日付)

自民党憲法改正推進本部の保岡興治本部長は13日…
安倍首相(
党総裁)が提案する2020年の新憲法施行に向けた
国民投票について『
否決されたら、安倍政権の命運だけでなく
日本の根底が揺らぐ。
失敗は許されない。やる以上は成立させる』
と述べ、
強い意欲を示した。
…9条1、
2項を維持して自衛隊の存在を明記する改憲案に関しては
9条3項だと9条が変わる。
『9条の2』
が今の解釈を動かさないという
強いメッセージに
なる』と述べた」(産経新聞同14日付)と。

政府の解釈だと、憲法は今のままで「合憲」。

なのに、
解釈を動かさない前提で自衛隊を合憲化して明記する」
とか。

自分が何を言っているか分かっているのか。

その上、9条に“3項”を追加することすらタブー視。

「9条の2」という条文の立て方にしてまで、
“9条死守”を貫くという。

これぞ安倍提案の行き着く先。

まさに超護憲的エセ改憲そのもの。

首尾よく成功すれば「最悪」だし、
失敗したら「ドン底」だ。

それにしても、保岡氏は何を考えているのか。

ただ安倍首相への「忠誠」しか頭にないのか。

それとも、強烈な“当てこすり”のつもりか。

はたまた、ただのヤケクソか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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